この国のガタツキは酷いよね。国の将来を背負う世代の子らにやる気のある教師が教壇に立つ。当たり前のようでそうは行かないおざなりの組織運営。どんどん構造改革していきましょい!!先生頑張って
2005年07月25日 asahi.com
一定の経験を積んだ先生が能力や意欲をアピールして新たな職場を選ぶ。求める先生像を校長が示して公募する。こうした異動制度が全国に広がりつつある。先生は職場選択の幅が広がり、学校は特色ある学校づくりに役立てようと考える。教員FA制を全国で初めて採り入れた京都市と、教員公募制を今年から始めた東京都杉並区を訪ねた。
京都市立安祥寺中の宮久保裕子先生は3年生に次々と英語で質問した。「Yes/No」しか答えない生徒には「もっと丁寧に英語で話してみて」と、答えを促す。次はプリントを配った。「この絵を見ながら隣の人と会話してみよう」。生徒同士が英語で会話を始めた。
後ろから授業を見ていた小林隆夫校長は「これだけテンポよく子どもたちに英語を話させる授業はなかなかできないですよ」と話した。
教員生活13年目の宮久保先生は昨年末、FA宣言し、専門の英語のほか、人権・道徳教育をアピールする文書を提出した。この書面に目をとめた小林校長から約2時間、市内の喫茶店で説得され、異動を決めた。
4月から、いきなり3年生の担任。人権教育の主任、生徒会の担当も兼ねる。「一生懸命やりたい気持ちを受け止めてくれる制度は教員にとってありがたいことです」と話した。
教員異動の素案づくりが始まった今年1月、同市立二条城北小の大沢和子校長は「6年生の担任ができる先生」を探していた。市教委の一室で、FA宣言した先生たちのアピール文を2時間以上かけて読んだ。部屋を出てすぐ、田村淳先生に電話した。
校長室に招き、口説いた。あっという間に1時間半。「ぜひとも来てほしかったので、熱意を伝えようと、とにかくしゃべりまくりました」
田村先生は22年目。FA宣言後、4校から誘われた。でも、大沢校長の話しっぷりに、「熱意を感じたし、ほんまにありがたい思うて」と、二条城北小を選んだ。
4回目の異動だった。過去3回は3月末に異動先の学校名を知り、担任する学年を知るのは4月1日だった。しかし、FA制を使った今回は3月中旬に6年の担任であることを知らされた。
田村先生は「何を求められているかわかっていたので、春休み中に新年度の準備ができた」と話した。
市教委教職員人事課によると、FA宣言できるのは経験10年以上で現任校に3年以上の教員。アピール文を読んだ校長が交渉し、双方が納得すれば異動が成立する。異動全体の1割の約100人をFA枠に定めた。
初年度の昨年度はFA宣言した158人のうち、110人の異動が成立した。今年度は166人が宣言し、105人が異動した。人事課は「今後はFA異動枠を増やし、先生が気軽にFA宣言できるようにしたい」と話す。
FA制とは異なり、教員公募制を今年4月から始めたのは東京都杉並区。校長が求める教員像を示して募集するため、「このゆびとまれ(ゆびとま)制度」と呼ばれている。先生は校長の募集を見て、志願書を提出する。
同区は02年度から学校選択制度を導入した。各校は「特色ある学校づくり」に向け、ゆびとま制度を活用しようとした。
「異動をお考えの皆さんへ 求む! 学力向上の指導者! 算数の学力向上をめざす」。杉並第七小はホームページに先生向けの「広告」を打った。
高槻義一校長は「欲しい人材を獲得しやすくなったが、半面、校長の裁量が広がって責任も感じる」と話す。
◇異動者特定の懸念も
予想外の問題点も浮上した。区教委指導室によると、志願書を提出した教員は小学校50人、中学校10人。中学校教員の希望者が少なかった。
区教委は中学校長に対し、10月の教員募集の際に科目名を書かないよう伝えていた。理由は「中学は科目名を書くと、異動する先生の名前が特定されてしまう」(指導室)からだった。
しかし、中学校長の一人は「こんな制約があっては、特色ある学校づくりに向けた教員募集はできない」と話した。
区教委は来年度異動に向け、各中学校が科目を明記できるようにする方針。指導室は「区単独では先生数も限られて、『ゆびとま』の効果が十分に出ないこともわかった。隣接区と共同で実施するなど、よりよい方法を考えたい」と話している。
■教員異動で公募制などを実施している自治体■
(04年4月現在、文部科学省まとめ)
●全都府県立高校で=埼玉県、東京都、京都府、大阪府
●全市立小・中学校で=京都市
●指定した高校で=千葉県、奈良県、鹿児島県
●指定した中学校で=和歌山県
●指定した小学校で=広島県